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海の近くに建つ深い軒の木造住宅の外観

海辺の住宅

見本県汐見町(架空)に、木造2階建ての住宅が完成しました。海岸線から約200m、なだらかな坂の途中にある敷地です。暮らすのはご夫婦と小学生のお子さんの3人。都内のマンションからの住み替えで、初めてのご相談から引き渡しまで、ちょうど1年3か月かかりました。

最初に聞いたこと

打ち合わせの最初に伺ったのは、間取りの希望よりも「休みの日の朝、何をして過ごしたいか」でした。ご主人は海を見ながらコーヒーを淹れたい。奥さまは洗濯物を気持ちよく干したい。お子さんは友だちと庭で遊びたい。この三つの場面が、そのまま設計の手がかりになりました。

潮風と付き合う

海辺の家でいちばん気をつけるのは、塩と風です。外壁には手入れのしやすい焼杉板を選び、外まわりの金物はすべてステンレス製にしました。南側には奥行き1.5mの軒を出し、強い日差しと横殴りの雨を和らげています。軒下は、雨の日でも洗濯物を干せる半屋外の場所になりました。

窓の高さを決める

2階の居間の窓は、床から75cmの高さに横長に開けています。椅子に座ったとき、手前の家並みや電線が視界から外れ、水平線だけが目線の高さに見える位置です。工事中に何度も脚立に腰かけて確かめ、最初の図面から5cm下げました。図面の上の数字が、現場で体の感覚とつながる瞬間が、設計の中でいちばん好きな時間です。

数字で見る

  • 延床面積:98㎡(1階52㎡、2階46㎡)
  • 構造:木造2階建て
  • 設計期間:8か月/工事期間:7か月
  • 竣工写真:季節を変えて3回撮影

引き渡しから半年たって伺うと、軒下の棚に貝殻や流木が並んでいました。暮らしの中で、家が少しずつ住む人のものになっていく。その様子を見られるのが、この仕事の楽しみです。写真と概要は作品のページにまとめています。