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白い漆喰の壁に斜めに落ちる午後の光

光の習作

アトリエの西側に、幅2mほどの白い漆喰の壁があります。2024年の春から一年間、この壁を同じ位置から撮り続けました。撮影した日は112日、その中から24点を選んで「光の習作」という連作にまとめています。

始めたきっかけ

設計の仕事では、窓の位置や大きさを決める場面が何度もあります。図面の上では、季節ごとの太陽の角度を計算して光の入り方を確かめることができます。けれども、実際の部屋で光がどう感じられるかは、計算だけではわかりません。それなら、一枚の壁で一年分の光を見てみよう。そう考えて、毎日の習慣として撮り始めました。

決めたルール

  • カメラの位置と高さは毎回同じにする
  • レンズは一本だけ、明るさの補正は最小限にする
  • 撮る時間は決めず、壁が気になったときに撮る

ルールを少なくしたのは、長く続けるためです。忙しい週は一枚も撮れないこともありましたが、それも記録のうちと考えました。

見えてきたこと

6月の午後3時ごろは、漆喰の細かな凹凸がくっきりと浮かび上がります。冬の朝は壁全体がほのかに青みを帯び、夕方になると一気に温かい色に変わります。意外だったのは、晴れた日よりも薄曇りの日のほうが、壁の白さが豊かに見えることでした。

この観察は、その後の設計にも役立っています。海辺の住宅の寝室に開けた小さな東窓や、書店の窓辺のベンチの位置は、この一年がなければ違う場所になっていたと思います。

展示について

2025年10月には、見本区のギャラリー(架空)で2週間の展示を行い、約400名の方にお越しいただきました。全24点を収めたA5判の写真集は300部つくり、現在は残りわずかです。作品のページでは、連作の一部をご覧いただけます。