光の習作

6月、午後3時。漆喰の凹凸がいちばんよく見える時間です。 
11月、午後4時半。障子をはずした格子の影。 
2月、午前10時。丸窓の光が壁で重なります。
一枚の壁を、一年間
アトリエの西側にある白い漆喰の壁を、2024年の春から2025年の春まで、同じ位置から撮り続けた写真の連作です。撮影した日は全部で112日、選んだのは24点。設計の仕事のあいまに、毎日の習慣として続けてきました。
始めたきっかけは、設計で窓の位置を決めるときの迷いでした。図面の上では光の入り方を計算できても、実際の部屋でどう感じられるかは、季節や時間で大きく変わります。それなら、一枚の壁で一年分の光を見てみようと考えました。
わかったこと
同じ壁でも、6月の午後は漆喰の細かな凹凸がくっきりと浮かび、冬の朝は壁全体がほのかに青みを帯びます。晴れた日よりも、薄曇りの日のほうが壁の白さが豊かに見えることも、撮り続けてはじめて気づきました。
この連作で見たことは、その後の設計にも生きています。海辺の住宅の寝室の小窓や、書店の窓辺のベンチの位置は、この一年の観察がなければ違う場所になっていたと思います。
展示と写真集
2025年秋、見本区のギャラリー(架空)で2週間の展示を行いました。プリントは24点すべて縦横30cmの正方形にそろえ、季節の順に壁一面に並べています。会期中には約400名の方にお越しいただきました。あわせて、全24点を収めた小さな写真集を300部つくりました。
概要
- 撮影期間:2024年4月〜2025年3月
- 撮影日数:112日/作品数:24点
- 展示:2025年10月、ギャラリー(架空)にて2週間
- 写真集:A5判・40ページ・300部
このシリーズのように、建物や空間を時間をかけて記録する撮影のご依頼もお受けしています。竣工時だけでなく、季節ごとに撮り重ねたいという方はご相談ください。